(法律上の意味の違いはここでは考えません)
手付金、内金、着手金がある取引をした場合の仕訳と請求書の書き方
手付金、内金、着手金がある取引をした場合に気を付けること
今年のハロウィン衣装どうしようかなー
手付金、内金、着手金
・商品・製品の完成引き渡しのとき
・サービスを受けるとき
よりも前に料金の一部を受け取る(支払う)ことを
手付金、内金、着手金と呼びます
仕訳を考える
こんな事例があった場合の仕訳を考えてみましょう
5月1日 母さん税理士は広告用パンフレットのデザイン制作を業者に依頼しました
5月10日 見積書に30万円とあり、合意しました
5月15日 着手金として10万円の請求があり支払いました
7月15日 パンフレットが完成、請求金額30万円から着手金10万円を引いた20万円を支払いました
母さん税理士の仕訳
・5月15日 着手金10万円を支払ったとき
まだパンフレットは完成しておらず、商品を受け取っていない状態です
なので経費(広告費)を計上することはできません
前払金 10万円/現金 10万円
前払金は経費ではなく資産科目です
・7月15日 パンフレットが完成し、残金20万円を支払ったとき
商品を受け取ったので、このときに経費(広告費)を計上します
広告宣伝費 30万円/現金 20万円
/前払金 10万円
5月15日に資産計上された前払金は7月15日になくなります
個人事業主だったら1月から12月、法人だったらその事業年度中に
着手金の支払いと商品の引き渡しがあれば特に気にするような仕訳ではないのですが
事業年度をまたぐ場合
例えば、個人事業主が12月に着手金を払って、1月に商品を受け取って残金を支払うようなときは
12月に経費計上できないので気を付けましょう
業者側の仕訳
・5月15日 着手金を受け取ったとき
現金 10万円/前受金 10万円
前受金は収入ではなく負債科目です
・7月15日 パンフレットが完成し、残金20万円を受け取ったとき
現金 20万円/売上 30万円
前受金 10万円/
5月15日に負債計上された前受金は7月15日になくなります
こちらも着手金の受け取りと商品の引き渡しが事業年度をまたいだ場合、
着手金をもらった事業年度ではなく商品が完成して引き渡したときに売上計上されるので気を付けましょう
請求書を作成するときの注意点
上記の例でいうと、着手金10万円には消費税や源泉所得税は課税されません
(源泉所得税は業者が個人事業主だった場合のみ)
あくまでも着手金である旨を備考などに記載するようにしましょう
商品引き渡し時の請求書には、残金20万円ではなく
商品の代金30万円を記載しましょう
30万円には消費税も源泉所得税も課税されます
商品代金(税抜) 300,000円
源泉所得税 30630円(30万円×10、21%)
消費税等 24000円(30万円×8%)
請求金額 293,370円(300,000円-30,630円+24,000円)
請求金額293,370円から着手金10万円を引いた金額を入金してもらうことになります
請求金額に293,370円を記載したうえで
入金額は備考に記載するか(例1)請求金額の下段に記載するとよいでしょう(例2)
例1)
請求金額 293,370円
備考:5月15日着手金10万円を受領していますので、残金193,370円を〇月〇日までにご入金ください
例2)
請求金額① 293,370円
着手金② 100,000円(5月15日入金済み)
入金していただく金額①-② 193,370円
この他にも請求書の記載方法はありますが
一番大切なのは先方にとって商品の代金、入金する金額がわかりやすく記載されていることです
ちなみに手付金、内金、着手金を現金でもらった場合には領収書を発行しますよね
この領収証には、収入印紙が必要になりますので忘れずに!
手付金、内金、着手金がある取引をする場合は
経費・収入の計上時期に気を付けること、請求書の記載方法を工夫することが必要ですよ
~今日のつぶやき~
平成28年も残すところ1/4ですよ
今年2月の確定申告相談会、インフルエンザにかかって中止した苦い思い出があるので(苦笑)
平成28年分確定申告に関するセミナーや相談会は、年末にしようかと考え中。。。